2017/01/07

天皇陛下の御譲位について考える


昨年8月8日、ビデオメッセージにて天皇陛下が御譲位についてお気持ちを表されました。現在は有識者会議が執り行われており、現実的にどのような動きになるかは、未だ決まってはおりません。宮内庁HPより天皇陛下のお言葉の全文を引用させていただきます。ちなみに、『譲位』とは位を譲るということで、現在の皇太子殿下が天皇になるということです。


戦後70年という大きな節目を過ぎ,2年後には,平成30年を迎えます。

私も80を越え,体力の面などから様々な制約を覚えることもあり,ここ数年,天皇としての自らの歩みを振り返るとともに,この先の自分の在り方や務めにつき,思いを致すようになりました。

本日は,社会の高齢化が進む中,天皇もまた高齢となった場合,どのような在り方が望ましいか,天皇という立場上,現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら,私が個人として,これまでに考えて来たことを話したいと思います。


即位以来,私は国事行為を行うと共に,日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を,日々模索しつつ過ごして来ました。伝統の継承者として,これを守り続ける責任に深く思いを致し,更に日々新たになる日本と世界の中にあって,日本の皇室が,いかに伝統を現代に生かし,いきいきとして社会に内在し,人々の期待に応えていくかを考えつつ,今日に至っています。


そのような中,何年か前のことになりますが,2度の外科手術を受け,加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から,これから先,従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合,どのように身を処していくことが,国にとり,国民にとり,また,私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき,考えるようになりました。既に80を越え,幸いに健康であるとは申せ,次第に進む身体の衰えを考慮する時,これまでのように,全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが,難しくなるのではないかと案じています。


私が天皇の位についてから,ほぼ28年,このかん私は,我が国における多くの喜びの時,また悲しみの時を,人々と共に過ごして来ました。私はこれまで天皇の務めとして,何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが,同時に事にあたっては,時として人々の傍らに立ち,その声に耳を傾け,思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。天皇が象徴であると共に,国民統合の象徴としての役割を果たすためには,天皇が国民に,天皇という象徴の立場への理解を求めると共に,天皇もまた,自らのありように深く心し,国民に対する理解を深め,常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において,日本の各地,とりわけ遠隔の地や島々への旅も,私は天皇の象徴的行為として,大切なものと感じて来ました。皇太子の時代も含め,これまで私が皇后と共におこなって来たほぼ全国に及ぶ旅は,国内のどこにおいても,その地域を愛し,その共同体を地道に支える市井しせいの人々のあることを私に認識させ,私がこの認識をもって,天皇として大切な,国民を思い,国民のために祈るという務めを,人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは,幸せなことでした。


天皇の高齢化に伴う対処の仕方が,国事行為や,その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには,無理があろうと思われます。また,天皇が未成年であったり,重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には,天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。しかし,この場合も,天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま,生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。

天皇が健康を損ない,深刻な状態に立ち至った場合,これまでにも見られたように,社会が停滞し,国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして,天皇の終焉に当たっては,重いもがりの行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き,その後喪儀そうぎに関連する行事が,1年間続きます。その様々な行事と,新時代に関わる諸行事が同時に進行することから,行事に関わる人々,とりわけ残される家族は,非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが,胸に去来することもあります。


始めにも述べましたように,憲法のもと,天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で,このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ,これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり,相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう,そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく,安定的に続いていくことをひとえに念じ,ここに私の気持ちをお話しいたしました。

国民の理解を得られることを,切に願っています。



戦後教育を受けてきた私たちは、そもそも「天皇」とはどういった存在なのかを理解しておりません。80歳を超えるご高齢で、年間200を超えるご公務に休むことなく邁進される陛下に対し、国民の大半がお気持ちを尊重して譲位していただければとのアンケート結果が出ていました。心情的にはもちろんそのようなご高齢の方に対して、これほどの激務を強要し続けることは、人道に反する行為のように感じます。

ところが、明治天皇の玄孫としてテレビなどでも天皇家に纏わる歴史や文化についてご発言なさっておられる旧皇族の竹田恒泰氏は、皇族には基本的人権はないのだとおっしゃいます。住居や職業選択の自由もないし、表現の自由もなく、なんと医療保険にも加入できないために、高額医療であっても全額自己負担なのだとか。それなりの予算のある天皇家や皇太子家はまだしも、それ以外の宮家の方々は、大病になった場合、治療費にも困るような状態なのだそうです。

これは、未来の天皇を有する秋篠宮家であっても同様です。皇太子家と比べると、予算は何と約10分の1だとか。御家来衆も少なく、警備も甘くなりがちです。先日も宮内庁職員が運転する秋篠宮家のご家族が乗られる車が追突事故を起こしていましたが、今後もそのようなことが続かないとも限りません。



「天皇」とは何か。

これを理解することが、私たち国民にとって急務なのではないかと感じています。どのようなものかもわからないものに関して判断することは、難しいだけでなく認められることではないと考えるからです。

戦後、日本を占領統治したGHQにより、「天皇」とは日本国の象徴である、ということになりました。象徴とはシンボルということですよね。国旗とかのような日本を表す印とかマークってことかなと理解できます。そう考えてみると、ずいぶん失礼な気がしますが、それでも天皇家をおとり潰しにしなかったのは、戦時中にも皇族と親しく交流されていたアメリカ人が多数いたことと、ご自身の持つすべての財産や自らの命を差し出すから、日本国民だけはこれ以上犠牲にしないで欲しいと、マッカーサーに願い出た昭和天皇の清廉さに、マッカーサーが心打たれたという話もあります。

天皇家とは、本来は神道の祭祀長で、日本国を守る霊威を血で受け継ぐ方々です。ですから、現在でも年間を通して多くの祭祀を執り行っておられます。これは、大嘗祭において天照大御神と同衾し、その霊威を受け継いでおられる、天照大御神の子孫である天皇陛下だけがおこなえる仕事です。

また、シュタイナー教育で有名な『神智学』の著者 ルドルフ・シュタイナーによると、キリスト以前は霊威を血で受け継いでいたが、キリスト以後は血縁に関わらなくなった、とのこと。天皇家の始まりは、初代天皇である神武天皇が即位した紀元前660年、今から2677年前のことです。キリストが生まれたときから西暦は始まるので、それよりも600年以上前から天皇家は(理論上ですが)続いていることになります。天皇家は紛れもなく血によって霊威を受け継ぐ一族なのです。

元旦の日に天皇自らおこなう「四方拝」という儀式があります。この儀式は、天皇以外の者がおこなうことの認められないものです。天皇陛下がお庭に出られて四方の天を拝し、日本国や日本国民に起こる災いが、すべてご自身の身体を通り、国が豊かで守られるように祈られます。つまりすべての災いをご自身が引き受けるから、どうか国や国民を守って欲しいと願う儀式なのです。そのような儀式を毎年おこなわれる天皇陛下が、大災害が起きて被害を受けた方たちを訪ねるとき、どのようなお気持ちでおられることでしょうか。

「国体」という言葉がありますが、これは天皇そのものを表す言葉として用いられます。また、国柄そのものという考え方もあります。天皇陛下は、その身体や存在そのもので日本という国を表しておられるのです。



男系、女系って何?

ここで問題になるのは、女性天皇、女系天皇を認めて良いのか、ということです。この違いがおわかりになるでしょうか。

この点に関しては、竹田恒泰氏が明確に説明なさっておられます。

理科の遺伝の授業を思い出してください。メンデルの法則とか、優性遺伝とか、そういったものです。男性はXとYの遺伝子をひとつずつ持ち、女性はX遺伝子をふたつ持っています。そのどちらか一方を出し合い、合わさって新しい命が誕生します。男性なら父親のY遺伝子と母親のX遺伝子のどちらか、女性なら父親のX遺伝子と母親のX遺伝子のどちらか、です。

考えていただきたいのは、Y遺伝子であれば、そのまま同じものを子孫に繋げていける、ということです。X遺伝子の場合、最初は天皇家の血筋を引いた遺伝子が引き継がれますが、現在のように皇族以外からお嫁入りする状況では、女性に天皇を引き継ぐと、あっという間に天皇家の遺伝子が消えてしまうのです。歴史的にも女性の天皇が一時的に即位することはありましたが、その後男系男子の天皇にまた戻っています。つまり、女性のお子さまの血筋に天皇の地位が引き継がれることを「女系」といい、その血筋であれば、たとえ男性であっても「女系天皇」です。女性が天皇になると男系であっても「女性天皇」です。

先程も申し上げましたとおり、天皇家とは「霊威」を血で受け継ぐ一族です。そう考えてみますと、男系男子に皇位を継承していく大切さがおわかりになるでしょう。天皇とは、その身そのもので、日本という国を守る存在なのです。この点に関して考えてみますと、他国の王室とはまったく性格の異なる存在だと言えます。



お出ましの取り合い 宮内庁職員

天皇陛下がイベントなどに出席されることを『お出まし』と言われるそうです。

宮内庁職員は、通常各省庁から役人が交代で宮内庁に出向しているそうで、出向元の省庁のイベントにいかにたくさん「お出まし」いただけるようにするかが、宮内庁職員の成果なのだとか。そのため天皇陛下のご公務は増える一方で、減らすことは困難になっているのが現状です。天皇陛下がご高齢になろうと、このイベントにお出ましいただけないならうちだけ損する!といった状況で、それならば全部なくしてしまうか、天皇そのものが交代するか、という解決方法しか浮かびません…

皇太子殿下がご公務を引き受ければ良いのではないか、とも思いますが、皇太子殿下には皇太子殿下のご公務があり、すべて肩代わりされるということは難しいのではないかと思います。また皇太子家にも雅子妃殿下や愛子内親王殿下の心身に関する諸問題があるため、たとえ御譲位なさったとしても、すべてのご公務をすみやかに引き継ぐことができるのか否か、疑問は残ります。



有識者会議の進捗状況

昨年11月に有識者会議がおこなわれ、6名の出席者のうち、2名が「譲位に賛成」4名が「譲位に反対」だったそうです。

譲位に反対されるおひとり、ジャーナリストの櫻井よしこ氏はこう述べておられます。

天皇が世俗の権力の上位に立ち、見事に国民の心を統合したのが明治維新。その折、先人たちは皇室と日本国の将来の安定のために譲位の制度をやめた。国民の幸福と国家安寧の基軸である皇室には、何よりも安定が必要。また、歴史を振り返れば譲位は度々政治利用されてきた。祭祀に加えて、陛下はご自分なりの象徴天皇の在り方を模索される中で、各地への旅を実践してこられた。しかし、次の世代の天皇は自らの思いと使命感で自らの天皇像を創り上げて行かれるはず。求められる再重要のことは、祭祀を大切にしてくださる一点に尽きる。恒例の陛下への配慮は当然だが、国家のあり方の問題は別である。

譲位ではなく摂政を置かれるべき。皇室と日本国の安定のために終身天皇でいらっしゃることが肝要だが、摂政制度の活用を軸に多くの工夫を重ね、制度改定を急ぐことが大事だ。


櫻井よしこ氏も述べられているとおり、天皇の本来の仕事は「祭祀」なのです。また、天皇陛下そのものが「国体」であるため、政治利用されることなく安定的に存在していただく必要があるとのこと。

戦後、GHQが定めた憲法による「象徴天皇」というものを、今上天皇は憲法に則って必死に体現されてこられました。その結果が、現状の休む間もない多大なご公務の連続の日々です。天皇陛下のお出ましを楽しみに待ち望む国民も多く、また断る自由もなかったことでしょう。

そこで「摂政」を置くのはどうか、という案が浮上しております。摂政とは、歴史上でも藤原氏などが歴任していた、天皇の職務を代行する者です。しかし、天皇陛下のお出ましを待ち望む国民が、この「摂政」に来ていただいても喜ぶでしょうか。また、どういった内容の職務について代行するのか、その選別が難しくなるのではないかと感じます。



皇室典範の改正について

現在の皇太子殿下が天皇に即位されると、男のお子さまがいらっしゃらないので、弟宮の秋篠宮が「皇太子」となります。しかし子供ではなく弟なので、歴史上の言葉を借りれば「皇太弟(こうたいてい)」ということになります。これも、竹田恒泰氏の話では、現在の皇室典範に規定がなく、どちらにせよ皇室典範の見直しは必要となるそうです。

憲法改正にせよ、皇室典範の改正にせよ、決まっているものを変更することが日本人は大の苦手です。天皇陛下が御譲位なさるのも、明治政府下で譲位の規定を取り消してしまったため、皇室典範の改正が必要となり、その改正そのものを忌避して譲位を認めない方たちも多いようです。そのため、摂政を置くとか、特別措置法をつくるとか、様々な案が取り沙汰されております。



「譲位」はされるのか否か

結局のところ、譲位されるのでしょうか。

心情的には、あれほどのご高齢の天皇陛下に激務を負わせ続けるのはどうかと思いますし、今すぐお気持ちのとおりに何とかして欲しい!と感じています。しかし、今後の「日本」という国を維持していくためにはとても重要な問題です。

私個人の浅薄な見解で恐縮ですが、天皇陛下はご自身の身体的な問題のためにご公務がおこなえなくなることをご心配されているのではなく、未来の天皇家となる秋篠宮家の方々をご心配されておられるのではないかと感じます。ご自身が譲位なさることによって、秋篠宮家は皇太子家と同様の扱いになるでしょう。そうすれば、小さな未来の天皇をさらに堅固にお守りすることができるのです。

現状の問題点を列記してみました。

【問題点】
・天皇陛下はご高齢ですべての公務に耐えられる身体的状況にない
・秋篠宮家の警護上の問題
・皇太子家のご家族の問題
・上皇や譲位を認めることによる政治的利用の可能性
・皇室典範に譲位後の身分や皇太弟の規定がない


ここから考えてみますと、秋篠宮に摂政となっていただき、天皇陛下のご公務の大半を代行していただくことと、秋篠宮家が皇太子家と同等に扱われるよう特別措置をおこなうというのはいかがでしょうか。また、どのように足掻いても皇室典範の見直しは避けることはできません。出来る限りすみやかに、必要な措置がとられることを、心から希求いたします。



追記:歴史的な言葉を用いるなら、成人している天皇に対し、補佐する者は「摂政」ではなく「関白」になります。天皇陛下のおっしゃるとおりです。摂政は、天皇が幼少などの理由で自ら職務を行えない場合に設置される役職です。